令和7年度市政運営の方針について
令和7年度の市政運営について
令和7年度の市政運営について、私の所信の一端を述べさせていただきます。
市長2期目の就任から、早いもので4年目となり、任期最終の年に入りました。これまで、市民の皆様及び市議会議員の皆様のご理解とご支援のもと、「住んでよかった、もっと住み続けたい」と思われる「ふるさと筑後市」の実現に向けて、各種施策の推進に取り組んでまいりました。
また、昨年4月には「市制施行70周年」という大きな節目を迎え、令和6年度は様々な記念事業を実施いたしました。
その過程において、改めて感じたことは、筑後の歴史を紡いでこられた先人の想いとたゆまぬ努力に対する感謝と敬意、そして、そのバトンを受け止め、次の世代に引き継いでいくことの責任であります。
しかしながら、日本社会では「2025年問題」と言われる超高齢化社会の到来と、少子化に伴う若年層人口の減少により、医療、介護、財政、地域社会など、多方面への影響が危惧されている状況であり、本市においても、令和5年の年間出生数が初めて400人を下回り、令和6年には325人とさらに大きく減少するなど、少子化の進行が深刻な課題となっております。
難しい局面ではありますが「ちくご市こどもの未来応援宣言」にて願いを込めた「こどもたちの明るく希望に満ちた未来」に繋げていくためにも、様々な課題解決に向け、全力を尽くす所存であります。
さて、令和6年度の日本経済は、名目GDPが600兆円を超え、33年ぶりの高水準となった賃上げの実現など、経済成長への前向きな材料もある一方で、不安定な海外情勢等による物価のさらなる高騰や、少子高齢化の進展による労働人口の減少などが大きな課題となっています。
そのような中、国は「物価上昇を上回る賃上げの普及・定着」や「DX・GX等の成長分野への戦略的な投資促進」により、経済全体の生産性を高め、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を重要課題とし、防災・復興や社会保障等の施策とともに取り組むこととしています。
また、先月開会した第217回通常国会において、石破首相は、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限引き出し、新たな人の流れと多極分散型の多様な経済社会を構築することを目指して、「地域創生2.0」を強力に進めていく考えを示しました。
本市においても、こうした国の方針を基調として、情勢の変化に対応しながら、様々な課題に向き合うべく、引き続き、第六次筑後市総合計画後期基本計画に掲げる「人口減少・少子高齢化への対応」、「防災・減災対策の強化」、「地域共生社会づくり」、「デジタル化・脱炭素社会の実現」の4つの「重点分野」を柱に、行政運営に取り組んでまいりたいと考えております。
これらの重点分野における令和7年度の主な施策につきまして、私の考えを申し上げたいと思います。
(第六次筑後市総合計画 後期基本計画)
1.人口減少・少子高齢化への対応
まず、重点基本事業の「切れ目ない支援による子育て不安の軽減」につきましては、引き続き、母子手帳の交付や乳児家庭への全戸訪問、乳幼児健診などにおいて、子育て家庭との顔の見える関係づくりを大事にしながら、保健師や相談員による包括的な支援を通じ、こどもの成長・発達段階に応じた切れ目ないサービスの提供に取り組んでまいります。
あわせて、市民の皆様が安心して子どもを産み育てることができ、子育てしやすいまちと実感していただけるよう、サービスの充実や質の向上を図ってまいります。
また、現在策定中の「筑後市こども計画」は、令和7年度の早い時期での完成を目指しておりますが、この計画に沿った形で、様々なこども施策を総合的・計画的に推進してまいります。
次に、「生きがいづくりと介護予防の推進」につきましては、引き続き「第9期高齢者福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、介護が必要になる前からの自主的な健康づくりや社会参加の意識の醸成に取り組んでまいります。
特に、地域デイサービスをはじめとする通いの場への支援を継続しながら、その有効性を広く周知してまいります。
また、重点的に取り組んでいるフレイル予防につきましては、令和6年度までに全ての通いの場でフレイル予防講座を実施できており、その結果を踏まえ、令和7年度は「運動」や「口腔」など特に課題と捉える分野について、2巡目の講座に取り組んでまいります。
このほか、高齢者の保健と介護予防の一体的事業や、介護予防ボランティアへの支援など、引き続き取り組んでまいります。
次に、「教育環境の充実」につきましては、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の育成等を柱に、変化の大きい社会を「生きぬく力」を育む教育活動の推進を方針として、取組を進めてまいります。
また、不登校児童・生徒が増加していることへの取組として、各小・中学校における別室登校の充実、学校以外の場所への居場所づくりに取り組んでまいります。
加えて、令和7年度は、GIGAスクール構想第2期として、児童生徒用端末の更新を実施し、効果的な利活用を推進してまいります。
また、3小学校を再編する「筑後南小学校」につきましては、EVスクールバスの運行など、4月より新設小学校としての運営を開始しますが、ハード面の整備が一部残っておりますので、事業完了に向けて整備を実施してまいります。
このほか、学校施設の老朽化対策として、「筑後市学校施設長寿命化計画」に基づく施設の更新や改修を計画的に実施してまいります。
2.防災・減災対策の強化
まず、「計画的な土地利用と市街地整備の充実」につきましては、令和6年度に都市計画用途地域を指定した、水田・松原・西牟田・筑後北の4地区について、居住誘導区域の指定を検討するため、「筑後市立地適正化計画」の見直しに着手してまいります。
また、既存用途地域内で都市環境が大きく変化している前津地区について、用途地域の見直しを進めてまいります。
中心拠点に位置付けているJR羽犬塚駅周辺地区につきましては、頻発化・激甚化する水災害に対応した、都市機能の防災性・安全性の向上のほか、都市のスポンジ化対策、居心地がよく歩きたくなるまちなかの形成等を図るため、2年目となる「都市再生整備計画」を進めてまいります。
次に、「河川・水路の整備推進と維持管理」につきましては、近年の集中豪雨等による浸水被害の現状を踏まえ、令和7年度までを財政措置の重点期間とし、河川・水路の改修をはじめとした防災・減災に効果的な機能整備を最優先に、着実に推進してまいります。
また、緊急浚渫推進事業の期間延長や、「しゅんせつ補助金」の拡充を図り、河川・水路の機能回復を進めるほか、農業水利施設の機能保全や大雨予測時の先行排水など、ハード面とソフト面が一体となった、総合的かつ多層的な流域治水対策について、国、県、流域自治体、水利関係者、地域住民など、あらゆる関係者と連携して、引き続き取り組んでまいります。
次に、「地域防災力の向上」につきましては、令和6年度に構築した防災プラットフォームシステムを着実に運用するとともに、浸水センサー等の情報を地域で活用してもらうための周知を進めてまいります。また、自主防災組織等の活動支援や要援護者の個別避難計画の作成に引き続き取り組みながら、災害から市民の生命・財産を守る取組を強化してまいります。
3.地域共生社会づくり
まず、「支え合いの意識と人づくり」につきましては、これまで「第2期筑後市地域福祉計画」に基づき、取り組んできたところであります。
令和7年度も、地域の民生委員、主任児童委員をはじめ、社会福祉協議会等の団体とも連携・協力しながら、「地域福祉計画」に掲げる「地域で暮らす住民や地域の多様な主体それぞれが支え合いながら、丸ごとつながる地域共生社会の実現」に引き続き取り組んでまいります。
次に、「地域コミュニティ活動の活性化」につきましては、地域での支え合いやコミュニティ活動の維持のために、地域活動の負担軽減に取り組むとともに、行政区、校区コミュニティ協議会及び市民活動団体が相互に連携・協力しながら、多様化する地域課題に対応できるよう支援してまいります。
4.デジタル化・脱炭素社会の実現
まず、「デジタル化の推進」につきましては、令和7年度中に自治体情報システムを標準準拠システムへ移行いたします。併せて、サービス向上と負担軽減などを目的に、行政のデジタル化・地域のデジタル化の取組を引き続き推進してまいります。
次に、「脱炭素社会の促進」につきましては、「筑後市地球温暖化対策実行計画」に基づき、様々な事務事業を進めておりますが、とりわけ電気自動車については、公用車への導入とともに、急速充電器の設置により、誰もがEVを利用しやすい環境を整えるなど、他自治体よりも一歩進んだ取組を行ってまいりました。
令和7年度も、省エネや再エネなどに関する情報発信をはじめ、市民の行動や事業者の事業活動が脱炭素化へと繋がるよう、その取組の支援を推進してまいります。
最後に、これらの重点分野に加えて、令和6年度に策定した「庁舎建設基本計画」を基に、引き続き、市民の意見も伺いながら設計作業を進めるなど、「新庁舎の建設」に向けた取組を進めてまいります。
これらの様々な政策・施策等を着実に実施するため、職員の働き方改革を進めつつ、効率的で機能的な組織づくりに取り組み、市民から信頼される市政運営を実現してまいります。
以上、令和7年度の市政運営について、私の基本的な考えを申し上げました。
4月からは市制施行71年目に入ります。
希望ある次の10年に向けて、市民の皆様、そして市議会議員の皆様のご理解、ご協力をいただきながら、明日の筑後のために、そして、次世代の主役である子どもたちの未来のために、全力で取り組んでまいります。今後とも、一層のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(筑後市役所)
令和7年3月 第11回筑後市議会定例会
市政運営の方針演説より
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