豊かな水辺環境を次世代に‥
美しい川と美味しい水
筑後市は、美しい川、きれいな水、豊かな緑など自然に恵まれています。
その中でも、地域住民が日常的にふれあう、あるいは子どもの時に遊んだ、身近な川や池などの水辺については、その環境の保全に対する関心が高く、豊かな水辺環境を次世代に引き継いでいくことが求められています。
川を汚す有機物は、ほとんどが家庭排水からの流入です。家庭の台所からは、調理くず、食べ残し、洗い水、さらには、風呂場など、川の水を汚す原因物質が大量に流れ込んでいます。しかし、合併浄化槽や下水道が整備されている地域では、し尿や家庭排水を川へ流しているという感覚が多くの人からなくなっています。合併浄化槽や下水処理場で処理されているので、自分は川の水を汚していないと思っている人が多いのではないでしょうか。
家庭排水が直接河川に流入しているところはもちろんのこと、合併浄化槽や下水処理場があるところでも負荷が多すぎて十分に処理がおこなえなくなり、汚れた水が川に流れ込むことになりかねません。できるだけ各家庭で汚れた排水を流さないようにすることがとても重要です。
各家庭での対策が河川への汚れの原因を減らすことになり、自然浄化力を高めて綺麗な川、美味しい飲み水の恩恵を受けることにつながります。
私たちの水への思い
水に対する私たちの思いはどんなものでしょうか?
内閣府の調査結果(複数回答)を多いものから順に並べると
(1) 安心して水が飲める暮らし(88%)
(2) いつでも水が豊富に使える暮らし(60.2%)
(3) 洪水の心配のない安全な暮らし(59.4%)
(4) おいしい水が飲める暮らし(35.7%)
(5)身近に潤いとやすらぎを与えてくれる水辺がある暮らし(34.2%)
(5) ウォータースポーツや魚釣り等の水辺レクリエーションが楽しめる暮らし(12.5%)
となっています。
・「安心して飲める水」がトップというのは、「水質汚濁」という環境問題の反映なのでしょうか。
・「おいしい水」より「安心してのめる水」への強い思いはペットボトルの水の消費増大へつながっています。
※「水質汚濁」・・・環境問題の一番古く、解決が困難なテーマ。川、湖、海の水が「富栄養化」という状態に陥ることを「水質汚濁」と呼んでいます。川や湖の水が飲み水に適さなくなるだけでなく、そこに住む生物が生きていけなくなるなど深刻です。
※「富栄養化」・・・いろいろな有機物が水に流れ込んでくると、普通は微生物が分解作用にて汚れないようにします。これを「浄化作用」といいますが、その働きを超える量のさまざまな物質が流入すると栄養状態が増加しプランクトンが大量に発生します。すると水中の酸素が減ってプランクトンをはじめとする微生物が死滅してしまいます。つまり「水がくさる」状態になってしまいます。このような水(河川や湖)の状態を「富栄養化」といいます。
どうすれば、「きれいな水」に
私たちはどうすればいいのでしょうか?
- 「安全な水」「おいしい水」の供給のために水道水源の水質保全の政策がすすめられています。いっぽうで、脱「水質汚濁」の環境政策も推進されています。
- とくに、脱「水質汚濁」については、日本全国で真剣に取り組まれています。一つは工場や事業所など産業や経済活動の現場が対象です。ここでは、法律や条例を厳しくして自然界へ汚水を流し捨てることは厳重に規制されています。
- もう一つは人々の家庭の暮らしの排水。こちらは、法律などで縛るのは難しく、賢い対応にゆだねられています。私たちは、何を、どうすればよいのでしょうか?
私たちにできること!!
この地域に住む私たちにしかできないこと
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私たちは1日200リットル(台所・風呂・洗濯150リットル,トイレ50リットル)の水を排水しています。河川のよごれのうち、生活排水の占める割合は約7割と非常に大きいものとなっています。
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誤って味噌汁1杯(200ml)を河川などに流したときにフナやコイが住めるくらいきれいにするには、7,000倍の量の水1,400リットル必要とされています。(牛乳200mlでは、3,000リットル,使い終えた油200mlでは、40,000リットル)
○私たちの日常生活で最低限、気をつけたいところは?
(1)風呂の残り湯を洗濯に使う。
(2)台所では、三角コーナーや排水口にろ紙を使う。
(3)天ぷら油やよごれた食器は紙で拭き取ってから洗う。
(4)米のとぎ汁は、樹木や畑にまく。
(5)洗剤及び石鹸の使用量は適量とする。 -
汚れた水を浄化することも大切なことですが、それ以上に「水を汚さない」、「水を節約する」ことが重要です。そのためには、以下のことをヒントにして、自分にできることを考えてみてください。
1)水の危機を知る
水を汚染し、ムダ使いしているのは自分自身なのです。2)徹底した節水を心がける
やめる、減らす、再利用する、再資源化するが基本。
◆頻繁に水道の蛇口を締める。
トイレ、歯磨き・洗顔、お風呂など、洗い流すとき以外は蛇口を締めましょう。
◆節水コマをつける。
節水コマは、水道管に挿入する節水用部品で、水量が約半分になります。
◆トイレのタンクに栓をしたビンなどを入れて、タンクに貯まる水量を少なくする。
◆トイレの水を消音のために使わない。
◆お風呂の残湯を洗濯・トイレ・庭の水まきに利用する。3)料理くず、食べ残しを流さない。
先進国で生活している私たちは、買ってきた食べ物のうち30~40パーセントを生ゴミとして捨ててしまっています。また、これらを配水管に流すとつまりの原因になるだけでなく、水汚染の大きな原因になります。4)洗剤・石ケン・シャンプーの使用量を少なくする。
汚れの落ちが悪いからと、石ケンをたくさん使うのでは意味がありません。環境に良いものであっても、必要最小限の使用にとどめることが必要です。今でも、世界の8割の人は石ケンを使っていないのです。5)化粧品の使用を最小限にする。
日本だけでも年間36万トンもの化粧品が使われ、洗顔時に流れ出ています。6)米のとぎ汁を植木や庭の植物にかける。
7)雨水をタンクに貯めて、トイレの水や洗車用に使う。
水だけでなく、緑豊かな田園風景を守るために‥
田園風景は、筑後市の象徴です。
- 山ノ井川、花宗川、矢部川などの河川やクリークが形成する水辺や水田、果樹園、茶園や麦畑が織りなす田園風景は、心の風景とも呼ぶべき筑後市の象徴です。
- 便利な生活を求めることと、こうした美しい景観や豊かな自然を守り育てていくことの両立を目指し、身近な水辺や緑、そこに棲む生き物を大切に思うことが自然との共生の第一歩となります。
田園と矢部川の風景を守るために
- 自然環境保護のため、市民・事業者・行政の協働による河川清掃と美化活動「川と水を守る運動」や、農家と地域住民による農地・農業用水路等の保全管理と環境向上のための様々な主体が連携する活動が行われています。
- 今後、集中豪雨などの自然災害に備えた河川整備とともに、河川とクリークの整備にあたっては、生物多様性を考慮し、開発や災害によって失われた原風景を再生し、水辺環境や豊かな生態系を守り、育てるために市民と協働のまちづくりを推進していくことが必要です。