解雇について
更新日 2024年06月28日
【Q】 法律ではどのような解雇が禁止されているのですか?
【A】 解雇とは、使用者が一方的に行う労働契約の解約の意思表示です。使用者は、いかなる場合にも自由に労働者を解雇できるわけではなく、次のような解雇は、法律により禁止されています。
- 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇
- 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
- 業務上の疾病による休業期間及びその後30日間の解雇
- 産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇
- 解雇の予告または解雇予告手当の支払いを行わない解雇
(解雇をする場合には、少なくとも30日前に予告するか、また、予告を行わない場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要です。) - 労働者が労働組合の組合員であることや、組合に加入したり組合を結成しようとしたことなどを理由とする解雇
- 労働者が労働委員会に対し、不当労働行為の救済を申し立てたことなどを理由とする解雇
- 女性労働者が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇
- 労働者が育児休業、介護休業の申し出をしたこと、または実際にそれらの休業をしたことを理由とする解雇
- 労働者が労働基準監督署などに対し、使用者の労働基準法違反や労働安全衛生法違反の事実を申告したことを理由とする解雇
- 労働者が都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、またはあっせんや調停を申請したことを理由とする解雇
【Q】 現在の会社に勤めて20年になりますが、人事担当部長から、「会社の経営状況が悪化したため、今年度いっぱいで解雇する」と言われました。 具体的な説明もありませんし、突然解雇と言われても困ります。会社の経営が苦しいということで、辞めなければならないのでしょうか?
【A】 経営上の理由による人員削減として行われる解雇のことを整理解雇と言います。整理解雇についても、経営状況が悪化したといって、会社は自由にできるものではありません。
整理解雇が有効とされる要件として次の4つの要件があり、一般に「整理解雇の4要件」と呼ばれています。
- 人員削減の必要性
会社が経営危機に陥っていて、人員整理の必要性があること - 解雇回避の努力
希望退職者の募集や配置転換・出向など、解雇を回避するために相当な努力をしたにもかかわらず、解雇をする必要性があること - 整理基準と人選の合理性
解雇される者の選定基準が客観的かつ合理的であり、その具体的適用も公平であること - 解雇手続きの妥当性
対象労働者や労働組合に対して、整理解雇の必要性やその内容(時期・規模・方法など)について十分説明し、誠意を持って協議したこと
この4つの指標が解雇の有効、無効を判断する基準となっていると考えられています。この4要件をあなたの場合に当てはめてみて、当てはまらないものがあるようでしたら、解雇権の濫用として無効とされることも考えられます。まずは、4要件を本当に満たしているのか会社に確認し、また、自らも調べてみる必要があります。
会社に労働組合があるようでしたら、組合で対応することも考えられます。特に、解雇の対象者が多数いるようでしたら、会社全体の問題となりますので、組合などみなさんで対応するのが良いでしょう。
また、裁判所に地位保全の仮処分を申し立てたり、本訴訟を行う方法も考えられます。