○筑後市長、副市長及び教育長の政治倫理条例
平成16年3月25日
条例第1号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)が市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、いやしくもその地位に基づく影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等及び市民の責務)
第2条 市長等は、市政に携わるに当たっては、その権能が市民から委ねられたものであり、市民のために行使すべき責務を負っているものであることを強く自覚し、その使命の達成に努めなければならない。
2 市民は、主権者として自ら市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことについて自覚を持つとともに、自己の利益又は第三者の利益若しくは不利益を図る目的をもって、市長等に対して、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第3条 市長等は、次の各号に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品をも授受しないこと。
(3) 市(市が設立した公社、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資し又は拠出している公益法人、株式会社、有限会社を含む。第20条において同じ。)が行う工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約及び物品の購入契約又はこれらの契約の下請負若しくは再委託に関する契約について特定業者を推薦、紹介するなど有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員(臨時職員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員を含む。以下同じ。)の公正な職務執行を妨げ、その権限又はその地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
(5) 市職員の採用に関して推薦若しくは紹介をしないこと。
(6) 政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しないこと。
2 市長等は、政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(資産等報告書の提出義務)
第4条 市長等は、毎年1月1日現在の資産、地位、肩書、前年1年間の収入、贈与及び税等の納付状況について毎年5月15日から同月31日までに、次条に定める資産等報告書を市長に提出しなければならない。
2 前項の資産等報告書の提出には、市長の配偶者及び扶養又は同居の親族に係る資産等報告書も併せて提出しなければならない。
3 資産等報告書には、規則で定めるところにより、必要な証明書類を添付しなければならない。
(資産等報告書の記載事項)
第5条 資産等報告書には、次の各号に掲げる事項を記入しなければならない。
(1) 資産
ア 土地 所在、面積、取得の時期、価額及び相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨
イ 建物 所在、種類、構造、床面積、取得の時期、価額及び相続により取得した場合は、その旨
ウ 不動産に関する権利(借地権等) 権利の種類、契約期日、契約価額及び相続により取得した場合は、その旨
エ 動産 価額が50万円以上の動産の種類、数量、価額及び取得の時期(ただし、生活に通常必要な家具、什器及び衣類を除く。)
オ 預貯金 預入金融機関名、預貯金の種類及び金額、定期預金の預金日及び満期日
カ 信託 信託に関する権利の種類、受託者、信託財産の種類、数量、信託の時期及び価額
キ 有価証券 公債、社債、株式、出資その他の有価証券の明細、取得期日、取得価額、額面金額及び時価額
ク ゴルフ会員権 クラブ等の名称、口数及び時価額
ケ 貸付金及び借入金 1件につき50万円以上の貸付金及び借入金の明細、契約期日及び金額
コ 保証債務 金銭保証、身元保証等の保証債務の内容及び金額(ただし、金銭保証については、同一人に対し総額50万円未満のものを除く。)
サ 貯蓄性保険 貯蓄性の生命保険、損害保険等の種類、保険会社名、契約期日及び保険金額
(2) 地位及び肩書
ア 企業その他の団体における役職名及び報酬(顧問料等その名目を問わない。)の有無及び金額(ただし、宗教的、社交的及び政治的団体を除く。)
イ 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取決めについての相手方及び条件
(3) 収入、贈与及びもてなし
ア 給与、報酬、事業収入、配当金、利子、賃貸料、謝礼金、講演料、原稿料、年金その他これらに類する収入の出所及び金額。ただし、1出所あたり3万円以上のもの
イ 1出所当たり3万円以上の贈与及びもてなし(交通、宿泊、飲食、娯楽等)の出所、内容及び金額又は価額
(4) 税等の納付状況
ア 所得税及び事業税の前年分、市県民税、固定資産税、国民健康保険税、自動車税(軽自動車税を含む。)、年金保険料及び介護保険料の前年度分の納付状況
イ 普通地方公共団体に関する使用料等の前年度分の納付状況
(資産等報告書の保存及び閲覧)
第6条 市長は、第4条の規定により提出された資産等報告書を、これらを提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
(筑後市政治倫理審査会の設置)
第7条 政治倫理に関する審査、調査等を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、筑後市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
(審査会の所掌事務)
第8条 審査会は、次の各号に掲げる事務を行う。
(1) この条例の規定に基づき市長から求められた審査又は調査を行い、その結果を市長に報告すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、政治倫理の確立を図るため、市長から諮問を受けた事項について調査し、若しくは答申し、又は建議すること。
2 審査会は、前項の事務のほか、筑後市議会議員政治倫理条例(平成16年条例第16号)第1条の目的を達成するために必要な事務を、同条例の定めるところにより行う。
3 審査会は、前2項の事務を行うため、関係人に対し、説明又は資料の提供を求め、その他の必要な調査を行うことができる。
(審査会の組織及び委員)
第9条 審査会は、委員7人をもって組織する。
2 委員は、資産等報告書の審査又はこの条例の規定に基づく調査に関して専門的知識を有する者及び市民(地方自治法第74条第5項に規定する選挙権を有する者に限る。第12条において同じ。)のうちから市長が公正を期して委嘱する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
4 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
(審査会の会議)
第10条 審査会の会議は、公開とする。ただし、特別な理由がある場合において出席委員の3分の2以上の同意を得たときは、公開しないことができる。
(資産等報告書等の審査)
第11条 市長は、資産等報告書の写しを、これらを提出すべき期間の末日の翌日から起算して30日を経過する日までに審査会に提出し、その審査を求めなければならない。
2 審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、速やかに審査を行い、審査を求められた日の翌日から起算して90日を経過する日までに、審査の結果及び意見を記載した審査報告書を作成し、市長に提出しなければならない。
3 市長は、前項の規定による審査報告書の提出を受けたときは、その要旨を速やかに公表しなければならない。
(市民の調査請求権)
第12条 市民は、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、その30人以上の者の連署をもって、これを証する資料を添付した調査請求書を提出して、審査会が調査を行うよう市長に請求することができる。
(1) 資産等報告書の記載内容に疑義があるとき。
(2) 政治倫理基準又は第20条に規定する請負契約等に関する遵守事項(以下「政治倫理基準等」という。)に違反する行為をした疑いがあるとき。
2 市長は、前項の規定による調査の請求がなされたときは、調査請求書及び添付資料の写しを審査会に直ちに提出して、その調査を求めなければならない。
4 市長は、前項の規定による調査報告書の提出を受けたときは、その要旨を速やかに公表しなければならない。
(市長等の協力義務)
第13条 市長等は、審査会の要求があるときは、審査若しくは調査に必要な資料を提出し、又は審査会の会議に出席して説明をしなければならない。
(信頼回復のための措置)
第14条 市長等は、審査会の審査報告書若しくは調査報告書において資産等報告書に事実と異なる記載がある旨又は市長等の行為が政治倫理基準等に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、市長等自ら資産等報告書の記載の訂正その他の市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じなければならない。
(虚偽説明等の公表)
第15条 審査会は、市長等が審査会に対し、事実と異なる説明をし、審査若しくは調査に協力をしないときは、期限を定めてその是正を市長等に求めることができる。
2 審査会は、市長が審査会の審査報告書若しくは調査報告書の要旨の公表を怠っていると認めるときは、期限を定めてその是正を市長に求めることができる。
3 審査会は、市長等が期限までに正当な理由がなく前2項の是正をしないときその他必要があると認めるときは、その内容を公表することができる。この場合において、審査会は、市長等に対しあらかじめ弁明の機会を与えなければならない。
(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)
第16条 市長等が刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に規定する罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑により逮捕された場合において、その職にとどまろうとするときは、その理由を市民に対して説明する会(以下「説明会」という。)の開催を審査会に求めなければならない。
2 審査会は、前項の規定による請求があったときは、説明会を開催しなければならない。
3 市長等は、説明会が開催されたときは、説明会に出席し、説明をするものとする。
(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)
第17条 市長等が職務関連犯罪により起訴された場合において、その職にとどまろうとするときは、審査会に説明会の開催を求めなければならない。
2 審査会は、前項の規定による請求があったときは、説明会を開催しなければならない。
3 市長等は、説明会が開催されたときは、説明会に出席し、説明をしなければならない。
4 市民は、説明会において、市長等が行った説明に関し市長等に質問することができる。
(職務関連犯罪による有罪判決後の説明会)
第18条 前条の規定は、市長等が職務関連犯罪により有罪とする第一審判決の宣告を受けた場合において、その職にとどまろうとするときに準用する。
(職務関連犯罪確定後の措置)
第19条 市長等が職務関連犯罪により有罪とする判決の宣告を受け、その判決が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、市長等は、その名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、辞職手続をとるものとする。
(市との請負契約等に関する遵守事項)
第20条 市長等の配偶者、二親等以内又は同居の親族、市長等が役員をしている企業並びに市長等が実質的に経営に携わる企業は、地方自治法第142条、第166条、第168条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、市との間の工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約及び物品の購入契約又はこれらの契約の下請負若しくは再委託に関する契約を締結しないよう努めなければならない。
2 前項に規定する「実質的に経営に携わる企業」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 市長等が資本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している企業
(2) 市長等が年額300万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している企業
3 前2項に該当する市長等は、市民に疑惑の念を生じさせないため、関係者又は関係企業の辞退届を提出するよう努めるものとする。
(委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(適用区分)
2 第12条第1項第2号の規定は、平成16年4月1日以後に行われた市長等の行為について適用する。
(政治倫理の確立のための筑後市長、助役、収入役及び教育長の資産等の公開に関する条例の廃止)
3 政治倫理の確立のための筑後市長、助役、収入役及び教育長の資産等の公開に関する条例(平成7年条例第9号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
(旧条例の廃止に伴う経過措置)
4 旧条例第2条から第4条までの規定により作成された資産等報告書及び資産等補充報告書、所得等報告書並びに関連会社等報告書の保存及び閲覧については、旧条例第5条の規定は、この条例の施行後においても、なおその効力を有する。
附則(平成16年12月21日条例第17号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(筑後市議会議員政治倫理条例の一部改正)
2 筑後市議会議員政治倫理条例の一部を次のように改正する。
附則第1項ただし書を次のように改める。
ただし、第5条から第8条までの規定は、筑後市長、助役、収入役及び教育長の政治倫理条例の一部を改正する条例(平成16年条例第17号)の施行の日から施行する。
附則(平成17年12月22日条例第34号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成18年1月1日から施行する。
附則(平成18年12月25日条例第33号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
附則(令和元年9月30日条例第12号)抄
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。